上越の面白い生き物
じみ〜な花、だけど面白いカンアオイの仲間
雪がどんどん解けていって、山の地膚が見えるのももうすぐですが、美しいカタクリやキクザキイチリンソウなどといった春の主役達の陰でひっそりと咲いている花が有るのをご存知でしょうか。雑木林の中、地面にへばりつくように咲く花の色は黒紫や汚れた緑色でお世辞にも美しいとは言えませんが、これこそ何万年?もまえからその場所に住みついている植物、カンアオイなのです。学者の計算によりますと、この仲間は移動するスピードがきわめて遅く1Km進むのに1万年ちかくかかるとされ、結果として狭い地域に隔離される事になり、日本のような狭い国でも何十種類にも分化したと言われています。
分布の様子を調べると平野部にはほとんど見られず、洪積台地(金谷山や春日山など)と呼ばれる2万5千年以上前の氷河時代に出来た地層の上に生育しており、地層の古さと深い関係があることが解ります。何万年も前からその命を受け継いできた植物、なんとなく悠久のロマンを感じる話ではないでしょうか。
カンアオイの仲間は全国で約30種、新潟県内だけでも4種類が記録されています。上越で見られるこの仲間は2種類あり、関川を挟んで西頸城方面にみられるクロヒメカンアオイ(クビキカンアオイ)、柿崎から東頸城、新井から妙高方面にかけて分布する花の大きいコシノカンアオイがそれで、生育地では2種が混生する事は有りません。この植物は美しいギフチョウが葉を食べる事でも有名で、産卵場所をもとめて株の近くを飛びまわる姿がしばしば見られます。
また徳川家の家紋である「三つ葉葵」もこれに近い種類の葉(フタバアオイ)を図案化したものです。それにクロヒメカンアオイの学名は長く新潟大学高田分校で教えておられた発見者の吉川純幹先生を記念してHeterotropa yosikawaiと名づけられたものです。